病院食は残していい?残すと何が起きるか、元病棟看護師が答えます

病院食は残していい?残すと何が起きるか、元病棟看護師が答えます

公開:2026年10月13日監修・執筆:よね(元看護師)

結論

病院食は、残しても大丈夫です。看護師は、残したことを責めるために食事量を見ているわけではありません。 食べた量は記録されますが、それは「体調のバロメーター」として、あなたの体を見守るために使われています。 食べられない日が続くときや、量が多いと感じるときは、気負わずに一言相談してください。量を合わせてもらえることがあります。

おかゆちゃん

毎回残しちゃって……。看護師さんに怒られないかな?

よね

怒ったりしませんよ。食べた量は、体調を見守るために記録しているんです。

「残したら怒られる?」と気になっている人へ

入院中、食べきれずにトレーを返すとき、こんな気持ちになっていませんか。

  • 残したら、看護師さんに怒られたり、注意されたりしないだろうか
  • 食べた量を記録されて、退院が延びたり、治療に響いたりしないか不安
  • せっかく作ってもらったのに、残すのは申し訳ない

そう感じるのは、あなたが周りに気をつかえる人だからだと思います。でも、安心してください。私は病棟で看護師として働いていましたが、残したことを責めたり、「残しちゃダメですよ」と言ったりはしませんでした。

病院の中では実際こうなっている

ここからは、私が病棟で見てきたことをお話しします。病院によってやり方は違うので、あくまで私がいた病棟での話としてお読みいただければ嬉しいです。

食べた量はこうして記録されている

食べた量は、カルテに記録する欄があります。私がいた病棟では、受け持ちの看護師が担当の患者さんの食事量を見て、まず手書きのシートにメモしていました。そして勤務が終わるまでに、そのシートを見ながらカルテに入力します。

食べた量は、体調や心身のバロメーターです。いつもより食べられていなければ、体のどこかで変化が起きているかもしれません。また、薬の量を考えたり、体重の変化を見たりするときの判断材料にもなります。

医師や栄養士と一緒にチームで患者さんを見ていて、記録は担当の看護師、主治医、栄養士が見ています。気になる患者さんがいると、栄養士さんから看護師に様子を聞かれることもありました。

つまり、記録は「残したこと」を責めるためのものではなく、あなたの体の様子をみんなで見守るためのものなのです。

残すのが続いたとき、誰に伝わって何が変わるか

残すことが何日か続いたら、まずは体調を確認します。

もともとあまり食べられない方なら、「最初に決めた量が多すぎたのかもしれない」と考えます。体重なども見ながら医師と相談して、ご飯の量や全体の量を見直したり、減らしたりすることもあります。量を減らしたとき、患者さんはどこかほっとした様子だった気がします。

一方で、普段は食べている方が急に食べられなくなったときは、体調の変化や病気、薬の影響がないかを確かめます。場合によっては、ご家族に好きなものを持ってきてもらうこともありました(主治医の確認が必要です)。

看護師が「残している人」に声をかけるとき

私は、食べ終わったトレーを下げるときに「こちらはお下げしてよろしいですか?」と声をかけていました。そこで「今日はちょっと……」と言われたら、「体調があまりですか?」とさりげなく聞きます。

気持ちの面で食が進まないこともあるので、その前の出来事なども気にかけながら声をかけていました。様子が分からないときは、顔色を見ながら「あまり食欲ないですか?」と聞きます。元気そうなのに残しているときは、「これ、苦手だったりします?」と軽く確認することもありました。

声をかけると、「すいません、もうお腹いっぱいで……」と申し訳なさそうにする方もいます。でも、こちらは本当に何も気にしていないのです。

おかゆちゃん

残すより困ることって、あるの?

よね

食事の前に薬を使ったのに、食べられていないときです。そういうときこそ、教えてほしいんです。

実は、残すより困ること

実は残すことよりも困るのは、薬は使ったけれど食事が摂れていないことです。

食事の前に、インスリンや血糖を下げる薬などを使っている方がいます。そうした薬を使ったあとに食事が食べられないと、血糖が下がりすぎる心配が出てきます。特に薬の量を変えた日に食事量が少ないと、正直ヒヤッとします。

そんなときは、低血糖の症状を改めてお伝えしたり、お部屋に様子を見に行ったり、「トイレに行くときは呼んでくださいね」と声をかけたりします。ふらついて転んでしまわないかも心配だからです。朝ご飯を食べられていなければ、夜勤の看護師が日中の看護師に「薬は使ったけれど、食事が摂れていない」ときちんと引き継ぎます。

だからこそ、食べられなかったときは、「今日はあまり食べられませんでした」と看護師に伝えてもらうことが大切です。

おかゆちゃん

じゃあ、「量が多い」って言ってもいいんだ!

よね

「ちょっと量が多いんですけど」と、気軽に相談してください。量を合わせられることがありますよ。

今日からできること

  1. 残すことを気に病まない 食べられないのは、体質や体調、これまでの食習慣もあります。謝ったり、申し訳なく思ったりしなくて大丈夫です。
  2. 困っていることは、早めに伝える 食べられなかったとき、「口に合わなかった」などは言いにくいと思います。でも、純粋に食事量が多い、体調があまり優れないなど、何か困っていることがあれば、早めに伝えてもらった方が対処がしやすいです。
  3. 「どれくらい食べましたか?」と聞かれたときに伝える 看護師が忙しそうにしていると、伝えるタイミングも難しいと思います。食事量を聞かれたときに伝えていただくのがよいかと思います。受け持ちの看護師が下膳できるとは限らないので、1日3食のタイミングなどで言ってもらえれば大丈夫です。
  4. できれば、日中の担当看護師に伝える 夜勤の看護師は多くの患者さんを受け持っています。できれば、日中の担当看護師が朝などに何回か訪室したときに言ってもらう方が、厨房の栄養士さんや主治医にも相談しやすく、対応がスムーズで、伝達漏れも防ぎやすいと思います。
  5. 食事の前に薬がある方は、食べられなかったら必ず伝える これがいちばん大切です。下膳のときや、ナースコールで構いません。