病院食がまずいのはなぜ?元病棟看護師が話す本当の理由と今日からできること

病院食がまずいのはなぜ?元病棟看護師が話す本当の理由と今日からできること

公開:2026年10月12日監修・執筆:よね(元看護師)

結論

「病院食がまずい」「ひどい」と感じるのは、あなただけではありません。 その理由は作る人の手抜きではなく、塩分を控えた味付けや配膳の流れ、体の状態の変化など、病院ならではの事情が重なっているからです。 我慢するしかないわけではありません。看護師に伝えれば、主治医や栄養士さんまで話が届き、食べ方や形が変わることもあります。

おかゆちゃん

毎食トレーを前にすると、ため息が出ちゃう……。まずいって思うの、わがままかな?

よね

わがままじゃないですよ。病棟でも「まずい」「味が薄い」は、実際によく言われていました。

「病院食がまずい」「ひどい」と感じるのは、あなただけではありません

入院していると、食事は一日の数少ない楽しみのはずです。それなのに、こんな気持ちになっていませんか。

  • 毎食トレーを前にするたびに気が重く、入院生活そのものがしんどくなってきた
  • 味がほとんどしない、少し冷めている気がする
  • 文句を言ったら作ってくれた人や看護師さんに失礼な気がして、誰にも言えない

その気持ちは、おかしなことではありません。私は病棟で看護師として働いていましたが、患者さんから「まずい」「おいしくない」「味が薄い」と言われることは、実際にありました。決して珍しいことではないのです。

おかゆちゃん

でも、どうして病院のご飯って、こんなに味気ないの?

よね

体の状態に合わせて塩分などを控えめにしていることが多いんです。それと、料理だけじゃなく、体の側の事情もあるんですよ。

病院の中では実際こうなっている

ここからは、私が病棟で見てきたことをお話しします。病院によってやり方は違うので、「私がいた病棟では」の話として読んでください。

病院食が味気なくなる理由

私がいた病棟は、生活習慣病の患者さんが多いところでした。そのため、塩分や脂質を控えめにした食事の方が多く、「味が薄い」「物足りない」という声はよく聞きました。病院食は、一人ひとりの体の状態に合わせて塩分や脂質などを調整していることが多く、家庭の味付けより薄く感じやすいのです。

もう一つ、外からはあまり知られていないことがあります。料理そのものではなく、体の側の事情で、食欲や味の感じ方が変わっていることがあるのです。

たとえば、治療の薬の中には、食欲が落ちる作用があるものがあります。実際に、そうした薬が始まってから食事が進まなくなった患者さんがいました。そのため、薬が始まる前に「こういう症状が出るかもしれません」と事前にお伝えしていました。

また、体の中の亜鉛が不足すると、味を感じにくくなることがあります。胃や腸の手術のあとや、お腹の病気があるときなどに起きる場合があります。「なんだか全部味がしない」と感じるときは、料理だけが原因とは限らず、味覚の問題がある場合もあります。

病室に届くまでに起きていること

食事は、厨房の人が病棟まで運んできてくれます。そこから看護師が受け取って配ります。看護助手さんや介護スタッフが届けることもありました。

配るときには順番があります。食事の前に飲む薬や、食事の前に打つインスリンがある方を優先して回ります。そうした方のところには「食前薬あり」の札を置き、その場にいるスタッフ全員で、間違いがないように確認しながら配っていました。

インスリンは、食事を患者さんの目の前に置いてから打つ決まりでした。そのため、自分で打つ練習をしている方や、血糖を測ってから打つ方は、食べ始めるまでに少し時間がかかります。漢方薬など、食前に飲む薬がある方も同じです。また、飲み込む力が落ちている方には、お茶や汁物にとろみをつけます。これを病棟でつける病院もあります。

配る側としては、急いで食べてもらわなければいけない、ということは特にありません。ただ、こうした流れがあるので、トレーが届いてから実際に口にするまでには、どうしても時間がかかる場面があるのです。

「まずい」と言われたとき、看護師がしていること

「まずい」と言われたとき、私は「食事は、お薬や運動と同じ、治療の一つなんですよ」「この塩分の量が、今のあなたの体にとって望ましい量なんです。おうちでの味付けの参考にしてみてくださいね」とお伝えしていました。

ただ、正直に言うと、患者さんが聞きたいのはそういう説明ではないんだろうな、とも感じていました。「まずい」と口にする方の多くは、言い返してくるわけでもありません。入院生活のストレスを、誰かに聞いてほしい、わかってほしい。そんな気持ちなのだと思います。だから私は、「うんうん」とお話を聞くようにしていました。「退院したら、おいしいものを食べるんだ」と話してくれた方もいました。

もし今、あなたが同じ気持ちなら、それを看護師に話すこと自体、悪いことではありません。

おかゆちゃん

「まずい」なんて言ったら、看護師さんに嫌な顔されないかな……。

よね

大丈夫です。「食べられない」と伝えてもらえれば、主治医や栄養士さんにも話が届きます。

今日からできること

正直にお伝えすると、好みに合わせて献立を変えてもらうことは、病院では基本的にはあまりありません。食事も治療の一つだからです。それでも、できることはあります。

  1. 「食べられない」と看護師に伝える 遠慮はいりません。看護師から主治医に報告したり、看護師同士の話し合い(カンファレンス)で共有したりして、主治医まで話が届きます。
  2. 味や体の変化も一緒に伝える 「何を食べても味がしない」「気持ち悪くて進まない」なども話してください。食べられない状態が続くときは、薬の影響や味覚の変化など、体の側に原因がないかを確かめてもらえることがあります。
  3. 栄養士さんの力も借りる 病院によっては栄養士さんが入り、とろみをつける、刻んで食べやすくするなど、食べやすい形を一緒に考えてくれることがあります。
  4. 差し入れや持ち込みは、必ず看護師に確認してから 主治医の許可が出て、家族に好きなものを持ってきてもらえた方もいました。食事制限がない方の場合、生もの以外の差し入れが普通に認められている病院もありました。ただ、決まりは病院や体の状態によってまったく違います。自己判断で食べず、まずは看護師に聞いてください。